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当センターと附属図書館主催による企画展示「足立文庫を通じて見る戦前・戦中・戦後」が、12月10日スタートしました。

 

足立文庫は、鳥取県境港市の足立恒氏(旧制松江高等学校卒業生)から島根大学附属図書館が寄贈を受けた、1295点1731冊に及ぶ書籍群です。その中には、江戸時代の和装本(写本・版本)と、明治から戦後にかけての洋装本とが含まれています。

 

展示ではまず足立正(あだち せい、1864-1947)の旧蔵書を紹介します。足立正は、松江師範学校卒業後、小学校長、境町長を務めながら、考古学、郷土史の研究を進めて多くの編著を残し、また山陰徴古館(現在の米子市立山陰歴史館の前身)を開設するなど、山陰の教育・文化の発展に大きな貢献を果たしました。

足立正の残した膨大な蔵書には、近世(江戸時代)の和装本が多く含まれており、戦前を生きた教養人の学問が江戸と連続したものであったことがうかがえます。

また足立正の長男健(けん)氏は、銀行勤務の傍ら大量の書物を収集しましたが、その中には、取得年時、価格、その時の世の中の状況などが書き入れられ、また関連する新聞記事の切り抜きが挟み込まれるなどしており、そこから戦中戦後の世のあり様が見えてきます。

伊藤博文が足立荘(足立正の弟)に宛てた書簡も展示しています。これは日清戦争の後、条約締結のための交渉を行う場所を「馬関」(下関)にするか広島にするか検討中であることを、当時、時事新報社の記者であった足立荘に書き送ったものです。このあと結局交渉は馬関で行われ、いわゆる下関条約の締結に至りますが、当時の歴史の一齣を映し出す資料として注目されます。

東京大空襲で罹災して焼け焦げた本、戦争の影の忍び寄る頃の演劇のパンフレット、戦争に関連する書き込みなど、本とその中に残された読書の痕跡は、私たちに戦前・戦中・戦後の時代状況について改めて考えるためのきっかけを与えてくれます。

みなさまのご来場を心よりお待ちしています。

 


この企画展示は2017年1月22日(日)まで、島根大学附属図書館1階展示室で開催しています。

※会期中の休室日:12月23日~25日、12月28日~1月3日、1月14日~15日

※開室時間:平日8:30~21:30、土日祝10:00~17:30

     (ただし、12月26日~27日及び1月13日は9:00~17:00)

※入場料:無料

 

◆展示の企画と解説の執筆を担当した田中則雄(法文学部教授、日本文学)、猪口洋志・楊媛(大学院人文社会科学研究科修士課程)がギャラリートークを行います。

 【第1回】1月6日(金)14:30~15:00

 【第2回】1月18日(金)16:30~17:00

       参加自由。各回とも同じ内容です。

 

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12月13日、学生対象のギャラリートークを行いました。