2013年10月23日、第29回山陰研究サロンを開催しました。今回は社会文化学科(考古学)の及川穣先生に、「隠岐諸島黒曜石原産地と遺跡の踏査報告」と題して、今年9月に隠岐で共同調査をされた成果をもとにお話しいただきました。

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及川穣先生

後期旧石器時代(約4万年前)から隠岐の黒曜石が石器の製作に使われるようになっていったことの背景に、現生人類が陸づたいに拡散し、さらに好奇心をもった人々が海洋にまで出て行ったということが見て取れるとのことです。すなわち隠岐の黒曜石の産出と利用の軌跡を辿ることは、ホモ・サピエンス(現代人)の行動の特質を描き出すのにきわめて有効であるということになります。

そして、西日本では隠岐しか黒曜石の供給地がないというのも注目すべき点です。

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石刃技法(スライドより)

隠岐の黒曜石の原石は、op層と呼ばれる火砕性の堆積物の層の中に陥入するようにして存在しており、非常に大きなスケールでの生成が考えられるそ うです。及川先生は地質学研究者とも連携しながらこれらの調査を進められており、来年以降さらにop層を集中的に調査される中で黒曜石原産地が新たに見つかる可能性が高いとのことです。

黒曜石の中にも、原産地によって性質に違いがあり、実際の石器がどの地で採れた黒曜石を使用しているかがつきとめられています。隠岐原産の黒曜石がどのような地域にまで及んで使用されていたのかも、今後明らかになってくるものと思われます。

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サロンのようす

研究者と学生とが一丸となって嶮岨な地にも入りながら懸命に調査する様、和やかであり且つ熱心な討議も行われた合宿所での生活も紹介され、参加者一同興味深くお話を聴きました。
(文責:田中)