28回サロン
発表者の飯野先生(右)と竹永先生(左)


2013年7月10日、第28回山陰研究サロンを開催しました。
今回は、飯野公央先生(法経学科)、竹永三男先生(社会文化学科)のジョイントによる報告でした。

飯野先生は、去る2013年3月『写真でたどるハーンの1年2ヶ月』(共著)を出版されました。
この著書は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が松江に滞在した1890年(明治23年)~1892年(同25年)の頃、町がどのような風景であったのかを、同時期の写真を収集調査して復元したものです。

松江大橋(山陰新聞より)
松江大橋(『山陰新聞』1890年11月25日)


15代松江大橋(今岡ガクブチ店提供)
15代松江大橋(天神町今岡ガクブチ店提供)


報告では、著書にも紹介されている第15代の松江大橋(フラットなトラス橋)の姿、帆船が行き交う宍道湖・大橋川の風景、白潟天神周辺の人の賑わいをはじめ町の人たちの生活のさまなどが、改めて紹介されましたが、「ハーンが見たのは正にこの位置からのこの風景」「ハーンが作品中に描いているのはちょうどこの情景」という解説は、実感を伴って理解できるものでした。

さらにこの著書出版後に進められた研究によって、ハーンが実際見て訪れた松江城の姿(修復される前のもの)も示されました。またハーンの妻小泉セツの生家の位置を調査のうえつきとめられたとのご報告も、そのプロセスも含めて興味深いものでした。


後半の竹永先生のご報告では、ちょうどハーン来松の直前にあたる1887年(明治20年)に出版された『山陰道商工便覧』という書物が紹介されました。ここには当時の松江の商店の数々が挿絵入りで紹介されています。
さらにはこの時期の『山陰新聞』に掲載されている各商店の広告、また『雲州松江商工業創業年代見立鑑』という番付も残されています。

これらの史料に共通して名の見える商店も多く、営業年代や所在地やそれぞれの店の個性などもうかがうことができます。
そしてこれらの店のあった場所が現在どのようになっているのかが、今の町の写真と重ね合わせながら示されました。中には今も営業を続けられている店もあります。

竪町・日本料理たてまち(中島呉服店の現況)
竪町・日本料理たてまち
元は「中島呉服店」であり、『山陰道商工便覧』(1887年)に図版つきで掲載されていた。


ハーンの見た松江はどのような姿であったのかを史料に基づきながら復元し、そして現況と重ね合わせてみるという作業の中から多くの事柄が見えてきます。
まだこの先へと続いていく調査研究であることをうかがわせるお二方の報告でした。

(田中)