平成25年5月18日(土)に島根大学大学会館大集会室で、第7回の山陰研究センター講演会を開催し、二人の先生にお話しいただきました。

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大社・手錢家蔵書と江戸時代出雲の文芸活動(田中則雄先生)


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左:講演の様子 / 右:講師の田中則雄先生


まず、田中則雄先生の「大社・手錢家蔵書と江戸時代出雲の文芸活動」と題するご講演では、出雲市大社町の手錢家(現在は手錢家記念館を開館)には和歌・俳諧・漢詩文・紀行などの文芸書、仏教・神道・国学などの学問書のほか、囲碁、将棋、絵画、音曲、華道に関係する書物などの多様な蔵書があり、これらはおもに歴代の当主によって収集されたことが紹介されました。

そのうえで、手錢家では、松尾芭蕉に傾倒した広瀬百蘿との交流を通じて俳諧や、本居宣長に師事した国学者千家俊信の影響の下、和歌が詠まれたこと、特に手錢家七代有鞆の妻さの子の書状が残り、これにより活発な文芸活動の具体像が分かることなどが述べられました。


全国ブランドを生み出す農畜産漁業:海士町における島嶼型農村経営(谷口憲治先生)


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左:講演の様子 / 右:講師の谷口憲治先生


次に、谷口憲治先生の「全国ブランドを生み出す農畜産業の成立・展開過程-地域資源活用による島嶼型農村経営-」と題するご講演では、離島振興法に基づく事業により、1990年半ばには公共事業(建設業)依存型の産業形態に変質していた隠岐・海士町が、1999年ごろから、「さざえカレー」や養殖イワガキ「春香(はるか)」など、地域資源を活かした新たなブランド商品の開発に着手したのを皮切りに、自立的な産業振興を図っていく過程についてお話しになりました。

特に、町村合併をしないことを選択した2003年以降、山内町長の下で財政再建に取り組むとともに、町が獲得した国の補助金などを利用しCAS(細胞を壊さない新冷凍システム)などの新技術を導入し、これを利用して第三セクターや民間企業が経営するという、公設民営化による産業創出の具体例が示されました。



講演会には、全体で100名にのぼる参加者があり盛況でした。講演後の質疑応答も活発に行われ、充実した講演会となりました。

(小林)