9月16日、出雲市大社町の手錢家において、手錢家蔵書とその背景にある出雲地方の文芸活動について検討する共同研究会が行われ、当センターの 「山陰地域文学・歴史関係資料の研究」プロジェクトを代表して、要木純一教授(中国文学)が、『出雲名勝摘要』に関して発表しました。

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写真1 『出雲名勝摘要』見開き

『出雲名勝摘要』は、明治14年(1881)星野文淑が編纂し刊行したものです。文淑は松江出身で、内村鱸香に学び、当時の小学校の教師をしていた文化人です。

この本では、「千鳥城」(松江城)をはじめ「宍道湖」「立久恵峡」「加賀の潜戸」「鬼の舌震」などの出雲地方の名勝を挙げ、それぞれにちなむ和歌、俳句、漢詩を収録しています。またそれぞれの名勝を描いた挿絵は、元松江藩士であった妹尾春江という人が担当しています。

今回の要木教授の調査により、地元文人のみならず、頼杏坪(らい・きょうへい)、中島棕隠(なかじま・そういん)など全国的に名の知られる文人が 出雲の名勝を詠んだ作が収録されていることが明らかになり、江戸後期の文化を継承しつつ、地域の名勝と文芸とを結びつけようと発想したものとして 注目すべき作品であることがわかってきました。

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写真2 『出雲名勝摘要』本文と挿絵(松江城)

(文責:1003山陰研究プロジェクト 田中)